
オオサンショウウオという名前は、地方によっては ハンザキ、ハンザケ、アンコウ、ハザコなどと呼ばれている。ハンザキの語源は、半分に切り裂いても生きているように思えるところからきているといわれることもあるが、口が大きく、半分に裂けているように見えるからではないかとも言われている。また、一度かみついたら、雷が鳴ってもはなさないと言われている。
昔は、動物性蛋白源となる魚や肉の入手が少なかったので、貴重な蛋白源として食用にしていた地方も多く、井戸や池の中に放すこともあり、蒜山地方では、「つかい川」でオオサンショウウオを飼っていたところもあった。
このようにオオサンショウウオは、昔から人々の暮らしとかかわりを保ちながら生きてきている。
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球環境時代のライフスタイルを考える上で大きな意味をもつ。で造られ、省資源・省エネルギーの住宅である草屋根民家を考えることは、自然と共生する生き方や地球環境時代のライフスタイルを考える上で大きな意味をもつ。
頭部にはイボイボがあり、ナマズのような体つきで、体にぬるぬるした皮膚をしており、背面には、茶褐色に黒色の斑紋がある。捕らえたり、棒でつついたりして刺激を与えると、背面全体に白い粘液を出す。この粘液は、独特の臭いがある。この臭いがサンショの臭いに似ていると言われることがある。
体巾いっぱいの大きな扁平の頭部をしており、前端に一対の鼻孔がある。口は、横に大きく頭部の幅いっぱいになっている。口の中には、1mmくらいの小さな歯があごの縁に沿ってたくさん並んでいる。さらに上顎の歯列の内側には、鋭い鋤骨歯がある。目は、鼻孔の後ろ側面に近いところにあるが、小さく分かりにくい。
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ハビタット(棲みか)は、隠れ家というのが適しているとされており、岸辺の1メートル以上もあるような横穴や大きな石の下などに定住している。産卵巣穴は、川岸の水中に開いた入り口で、入り口は小さく、奥は広くなっている。巣穴の奥に伏流水などの水が流れ込んでいるのがより快適な産卵巣穴とされている。また、渇水時でも巣穴は水面下となる場所である。
オオサンショウウオは、渓流の王者と呼ばれる。山地の谷川に生息している感が強いが、意外にも河川の中流まで普通に生息し、時に下流で発見されることがある。生息地の条件としては、「水枯れしない隠れ家があること」、「餌となる小魚や昆虫類が生息していること」、 「流れに淵や瀬があり、ある程度の水量があること」、「水温が高すぎないこと(とくに夏場の水温が25℃以上にならないこと)」が考えられる。
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オオサンショウウオの体の色は、茶褐色に黒色の斑紋が一般的でるが、全身真っ黒のものや黄色に見えるものまで個体変異は大きく、生息場所の川床の色に似た保護色になっている。孵化後、1年間は、黒色をしているが、やがて茶褐色になり、小さな黒点が現れ、大きな斑紋となる。
足は、胴部の前後にあり、前肢には4本の指、後肢には5本の指がある。指には爪がなく、胴の両側面には、小さいひだがある。尾は全長の3分の1近くあり、縦に扁平である。 オスとメスの区別は、外見ではできにくいが、繁殖期にはオスは総排出口周囲をとりまいている線が肥大して隆起してくるので雌雄の判別が可能となる。
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オオサンショウウオは夜行性である。しかし、最近では、河川改修などで、隠れ家なくなり、昼間に見つけられることも多くなっているといわれている。
隠れ家は、普通は川の側面にできたくぼみが多いが、大きな岩の下であったり、川に繁っている藻の蔭であったりするということである。
川の流れに直射日光が照りつけるようなところでは、水温が上がるので、川面を覆い被さるように樹木や竹藪が繁っていることで水温の上がりにくい環境になっている。
オオサンショウウオは、一ヶ所に塊まって生息していることはほとんどなく、テリトリーを保っていると考えられている。
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4月頃から活動は活発になり、8月には産卵のための移動がはじまる。8月下旬から9月にかけて産卵し、10月を過ぎるとあまり隠れ家から出てこなくなる。オオサンショウウオは、冬眠はしない。冬季は、水温が0度でも体温は4度ある。
夜、川へ出てきて餌を取る。オオサンショウウオは、夜行性の動物で、昼間はあまり動かないが、昼間でも目の前に来た動く物に対して、採食行動を行う。
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自然林や雑木林の中を流れる清流域とその背後地をオオサンショウウオのサンクチュアリーとして保全することが必要とされる。
それでは、雑木林の下を流れる谷川では、どんな生き物が観察できるのだろうか。
人の手が加わっていない自然の川岸は、草が茂り、木が根を張るなどしており、洪水の度に石や土砂が流されて微妙に水辺の状況の変わることから、細かくみると、複雑な形状となっている。こういったや多様性のある環境がみられるのが、自然の川岸である。雑木林には多くの野鳥や小動物、昆虫が棲み、落葉樹の側を流れる谷川には、水生昆虫や魚の餌となる落ち葉、木から落ちた昆虫などが多く、それを求めてやってくるイタチやカワセミ、オニヤンマなど多様な生態系がみられるなど、自然観察の場としても優れており、一部については、人の立ち入りを制限するとともに、環境学習やエコリーリズムに活用する。
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目の前に来る動くものは枯れ葉でもかぶりつきく。小魚、サワガニ、カエル、水生昆虫、小型のサンショウウオ、ネズミ、ヘビ、共喰いすることもある。
川の生態系では頂点に位置しており、食物連鎖の最高位で、天敵はいないが、幼生時代には、イタチなど他の動物に捕食されている。
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産卵期は、8月下旬〜9月。水温が20度以下になる9月上旬が最も多い。標高が高く、水温が8月でも20度以上にならないような河川では、8月中旬に産卵している場合があるとされている。
産卵場所は、岸辺に掘られた深い横穴など奥から伏流水が出るようなところが好適である。毎年、同じ穴で産卵することが多い。
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繁殖行動としては、まず、オスが産卵に適した穴を見つけ、産卵できるように巣穴内をきれいにし、メスがやってくるのをまつ。他のオスがやってきたときは、闘争が起こる。
産卵が終わると1頭のオスが巣穴に残り、卵を守る。
産卵数は、1匹のメスは、300〜500、多いときは700個近くを産む。卵黄の直径は、5〜8mmで20〜25mmのゼラチン質の保護膜で包まれていて、数珠のようにつながり、お互いにからみ合って一塊りになっている。
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生産的と考えられていたことの中に、実は大きな資源の浪費と、自然と文化の破壊をまねいているものがある。
古い物を大切にする。自然のままの材をつかう。里の自然を楽しむ。今まで非経済的な行為とされてきたことも、循環型社会や地球温暖化の防止を考える上で、評価されるようになってきた。
古き良き時代や伝統美という言葉がある。レトロやトラッドという言葉を耳にしたことがある。郷愁やノルタルジーだけでは説明できないものがある。 |
孵化日数は、40〜50日で、全長30mm程の幼生が誕生する。誕生後は、幼生分散までの翌年の1月〜3月まで巣穴の中にいる。その後、川へ分散し、川底に流れ積もった落ち葉などの下に潜んでいる。この時の全長は4〜5cmになっている。幼生は、4〜5年かかって、外鰓が退化縮小する。この頃の全長は20cm位になっている。 |

産卵期の闘争により四肢を咬みきられたりすることがある。四肢の欠損は、オスに多く、オスは闘争するが、メスは闘争しないとされている。 |
オオサンショウウオの生態については未だ不明な部分が多いことがわかった。とりわけ、オオサンショウウオ幼生について確認例が少なく、幼生期にどのような環境に潜んでいるか明確にされていない。 |
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