桜の老木が並木をなす古い宿場町、通りの両側を水路が音をたてて流れ、鯉の姿を見ることもできる。
ここは旧出雲街道の宿場町「新庄宿」、桜並木は「がいせん桜」である。この歴史情緒豊かな通りは、県の「町並み保存地区」をはじめ、「歴史国道」や「日本の残したい音風景百選」に指定されており、本陣、脇本陣をはじめ、宿場町の景観が大切にされている。そんな古い家並みが軒を連ねる通りの一角に一件の草(茅)葺き屋根の民家が残されていた。
昔の民話に登場しそうなこの民家は、かつての宿場町の景観や人の生活を現在に伝える貴重な遺産的資源であると同時に、桜並木や宿場の家並みと一体となって、歴史的な雰囲気を醸し出し、桜の咲くころをはじめ、初夏の新緑、夏の濃い緑、秋の紅葉、冬の積雪と「絵になる宿場の風景」となっていた。
しかし、老朽化による痛みもひどく、現在この愛すべき民家の風景は、存亡の危機に瀕していた。
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